その11:1年生の初めての実習指導 実習指導者との打ち合わせ内容⑤

看護教員にこの実習指導の実際

看護実習の指導の準備。1年生は念入りに。

前回で、指導者さんとの打ち合わせ内容についての解説が終了予定でしたが、

肝心の「学生個々の状況についての共有:リーダーシップ・メンバーシップを支援する」について、解説が抜けていました。

また、

「指導者さんにも朝のうちに今日の実習目標と行動計画を確認してもらう」

についても、大事にしていました。

この2点について、解説したいと思います。

1年生の初めての実習指導 実習指導者さんとの打ち合わせ内容

指導者さんにも、朝のうちに「今日の実習目標と行動計画」を確認してもらう。

看護教員にこの実習指導の実際:その2、3、4のブログの中で、

「今日の実習目標の確認」と、「今日の行動計画の確認」をすると、

心配な学生と、大丈夫な学生をだいたい判断することができる。

ということをお伝えしていましたが、

実習指導者さんにも、出来る範囲で構わないので、

朝のうちに「今日の実習目標行動計画」の確認をお願いしていました。

なぜ、指導者さんにお願いしていたかというと、

学生が担当している患者さんも、夜間帯や、週末のうちに、状態が変化している可能性があるからです。

1年生が担当させていただくので、患者さんは病状が安定している方が多かったのですが。

夜間帯で呼吸状態が悪くなった、とか、

高熱が出たとか、

今日から化学療法を開始することになったとか、

教員にも予想できない、想定外の出来事が起こっている可能性があります。

もちろん看護学校1年生は、初学者なので、突然の変化に対応できるはずがありません。

なので、朝のうちに指導者さんに実習目標と行動計画の妥当性を確認してもらえると、

今日一日の目標や行動を修正することができ、学生も安心して実習に臨むことができます。

また、患者さんの状態が悪くなり、学生が主体的に関わることが難しい状況になったとしても、

指導者さんから学生に

看護師
看護師

今日は、担当看護師さんの患者さんへの関わりをよくみて、患者さんの反応をとらえてください。

など、学生が学びやすいように配慮していただけるのではないかと思います。

実習に慣れていない1年生は、自分なりに一生懸命、患者さんへの思いを、

「実習目標や行動計画」に表現してきます。

2年生や3年生のように、病態生理学などを授業で学んでいない時期なので、

看護師
看護師

あらー。。なんでこんな実習目標になっちゃったのかな?

寝たきりの患者さんなのに、車椅子で散歩にいくのねー。。

などと、看護師さんにすると、患者さんの状況にあっていない目標や計画を書いてくることもありますが。

ネットを検索していたら、寝たきりでも車椅子に乗って散歩している動画を見つけました。毎日散歩を続けていたら、寝たきりの患者さんが、笑顔になったり話すようになって。素敵だなって思ったんです。

学生は、自分なりに患者さんへの思いがあって、考えたことを書いています。

確かに、身体面の対象理解は不十分なのかもしれません。

そこは、きちんと勉強してもらわないといけません。

でも、その学生の優しい思いを否定することなく、活かしながら目標や計画を修正できれば。

学生も、看護師さんや指導者さんからの修正を素直に受け入れ、患者さんに関わることができるのではないかと思います。

「朝の忙しい時間帯に、無理です。」という声が聞こえてきそうですが。

毎日でなくても、

気になる学生の記録だけでも。

また、患者さんに変化があった学生の記録だけでも、見ていただけないでしょうか。

「〇〇さんが急変したんだけど、私は忙しいので、先生お願いします。と伝えてください。」と、

実習グループの学生リーダーに伝言していただくだけでも、非常に助かります。

連携ですね。

お互いに、大変な時は助け合って、学生指導ができるといいですよね。

もちろん、看護師さんや指導者さんにとっての優先順位が高いのは、患者さんです。

患者さんを尊重している姿勢や看護を、学生に見せていただけたらと思います。

学生個々の状況について、共有する:リーダーシップ・メンバーシップを支援する。

学生の実習を受け入れるにあたっては、1つの病棟で学生は5人から6人ぐらいかと思います。

各グループには、リーダーと、サブリーダーがいます。

実習中、グループ全員が良い成果を出すためには、グループ全体が協力し合うことが大切です。

初めての実習ですが、

初めての実習だからこそ、看護はチームで実践するということを、

学生たちに、肌で感じ取ってもらわないといけません。

小学校・中学校・高校と、様々な行事や委員会活動などを通して、

また、部活動などを通して、リーダーやサブリーダーを経験している学生もいますが、

まったくそのような役割をすることなく、学校生活を送ってきた学生もいます。

今までは、リーダーが指導力を発揮し、メンバーは、何となく従っていけば。

メンバーは、言われたことを真面目に実施すれば、グループ全体の結果として現れてきたかもしれませんが。

看護はそのようにはいきません。

リーダーだけが頑張っても、リーダーが疲弊してしまうだけで、

学生が担当している患者さん一人ひとりへの学生の関わりは、より良いものにはなりません。

初めての実習で学ばなければならないのは、

リーダーシップだけでなく、メンバーシップも発揮しないといけないということです。

初めての看護実習となると、今までリーダーを経験したことのある学生が、

自主的にリーダーを立候補することがあります。

でも、実際に実習が始まると、今までのようにリーダーシップを発揮することができないことがよくあります。

それは、なぜか。

患者さん中心で病棟のスケジュールが進み、看護師さん達が協力し合って動いているからです。

「14:00から学生カンファレンスを開始するから、13:55にはみんな集合しよう。」と、

リーダーを中心に、朝のうちに決めていても、誰一人集まりません。

それどころか、リーダー自身も、時間通りに動くことができません。

なぜか。・・患者さんが優先されるからです。

学生一人ひとりは、自分の担当患者さんのために精一杯頑張っています。必死です。

そんな中、学生リーダーや、サブリーダーが、

頑張って「カンファレンスの時間だから、集まって。」と、

メンバーに指示しても、ダメなんです。

メンバーは、患者さん優先なので、集まれないのです。

そこで重要になってくるのが、メンバーシップです。

学生カンファレンスが時間通りに始められるように、

自分にできることは何かを、学生一人ひとりが自分で考え

行動することが求められているのです。

看護師さんたちは、当たり前のようにやっていることなんですが、

それは、当たり前ではないのです。

患者さんの事を思い、自分の看護チームの状況を判断し、

誰かに負担が行き過ぎていないかを考えて、日々行動している訓練の賜物なんです。

たとえば、自分の担当患者さんのOPE出しが9:00だったとして、

ちょうど8:50に自分の他の担当患者さんからナースコールが鳴ったとしたら、

チームの誰かが、または、チームでなかったとしても、

「ナースコールの対応をしておくから、OPE出ししてきていいよ。」と、

フォローしてくれますよね。

エレベーターに乗ろうとしたら、科長さんがすでにエレベーターを開けて待っていたりして。

それって、素晴らしいメンバーシップだと思うのです。

時には、病棟の科長さんが、メンバーシップをとってくれます。

リーダーシップをとれる人は、メンバーシップがとれます。

メンバーシップがとれる人は、リーダーシップもとれるのです。

看護チームは、患者さんを中心に動いていますが、

学生も、担当している患者さんを中心にしながらも、一人ひとりがメンバーシップを意識すること。

小さな力でもかまわないので、自分にできることを看護チーム(実習グループ)に提供し、より良い看護につなげてほしいと思います。

たとえば、

「カンファレンスをする場所を確保しといたよ。」と、リーダーに報告する。

「指導者さんも含めた、人数分の椅子を用意したよ。」と、リーダーに報告する。

「〇〇さん、私、看護師さんと患者さんの援助に入るから、5分だけ送れるって伝えて。」と、メンバーに伝え、リーダーに報告してもらう。

「指導者さんに、14:00からのカンファレンス大丈夫か、再度確認したほうがいいかな。」と、リーダーがサブリーダーに相談する。など。

学生が担当している患者さん一人ひとりに、より良い看護や関わりをするためには。

また、リーダーに負担をかけすぎる事無く、有意義な実習をするためには。

学生の個の力だけでは、大変難しいのですが。

看護師さんのように、看護チーム(実習グループ)が動き始めると、

1人の学生が担当している患者さんの足浴の準備を、手の空いている学生2人が協力していたり。

患者さんとのコミュニケーションで悩んでいる学生に対して、

自分の事のように悩み、助言する姿が見られるようになります。

なので、看護師さんや指導者さんにお願いしたいのは、

学生一人ひとりは頑張っているんだけど、

実習グループとして、うまくいっていないんだよね・・・。

という時は。

リーダーシップとメンバーシップという視点でどうか見ていただき、

実習グループの力が高まるようにアドバイスを頂けるとありがたいなと思います。

まとめ

今回で、

1年生の初めての看護実習 指導者さんとの打ち合わせ内容

についての解説を終了とします。

書き始めたら、どんどん伝えたいことが増えてきてしまいまして。

大変失礼いたしました。

初めての実習だからこそ、学生には、

「看護の道を選んでよかった。」とか

「学校で学んだことを、患者さんへの関わりに活かせて良かった。」とか、

「実習、大変だったけど、勉強になった。楽しかった。」とか、

「看護師さん、格好良かった。」と、

思ってもらいたい。

最初からつまずいてしまい、

「もう、二度と実習に行きたくない。」と、

思ってもらいたくない。

何事も、第一印象が肝心です。

教員にこも、失敗を何回も経験したからこそ、

今年こそは、と、いつも思います。

準備をすればするほど、学生が学べる実習になるのかな、と思います。

 

次回からのシリーズは、

「1年生の最初の実習 学生へのオリエンテーション内容」

についてです。

もちろん、学生にも準備が必要です。

お楽しみに。

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