その6:1年生の初めての実習指導 実習指導者との連携が肝心

看護教員にこの実習指導の実際

1年生の初めての実習。指導の失敗は許されません。

看護師になりたくて看護学校に入学した学生も、何となく入学した学生も。

半年ほど、講義や演習で、基本的な看護の知識や技術、態度について学びました。

いよいよ、1年生の初めての実習です。

ドキドキ、ワクワクといった期待と。

やばい、どうしようという不安や緊張と。

落ち着かない様子の1年生に、教員10年になる私も、次第に緊張してきます。

初めての実習だからこそ、失敗できない。

そんな思いがこみ上げてくるからです。

1年生の初めての実習は、以下のような内容です。

医療機関や高齢者介護施設などで看護場面・看護業務を見学し、患者さんや地域の人々とコミュニケーションを取りつつ、看護師に求められる能力について学ぶ。

つまり、

  • 看護師さんは病院でどんな仕事をしているのかな。
  • 看護が必要な人は、どんな人たちで、どんな思いで療養しているのかな。

ということを、実際に医療の現場に行って、理解しよう。

ということです。

理解するためには、看護師さんと一緒に行動して、援助を体験したり。

患者さんとお話をして、患者さんの思いを知ったり。

病院施設の構造や、どのような方々が働いているのか。

1人の患者さんの命や生活を守るために、医療従事者はどのように協力し合っているか。

病院施設を見学したり、それぞれのスタッフに話を聞いたり。

時には体験させてもらったりする中で学習していきます。

1年生の初めての実習、絶対に失敗できない!

と、思うようになったのは、私自身、沢山の失敗を繰り返してきたからです。

先生、看護師さん、怖いです。忙しそうで、声かけられません。

もう、実習、行きたくないです。

患者さんに、もう来なくていいといわれました。なぜだかわかりません。

なぜ??

どうして、そんなことになったの?

このような、沢山の失敗?を経験し、学生さんや患者さん、指導者さんとのやり取りを繰り返す中で。

様々なノウハウを会得してきました。

まさしく、失敗から学ぶ、です。

ちょっとしたコツから、これだけは絶対にしたらダメということまで。

整理してまとめてみました。

初めての実習だからこそ、最初の失敗が、3年生の最後の最後まで響きます。

学生は、初めてのつまづきを忘れません。(心の傷になることも・・・。)

参考になったら嬉しいです。

実習前に教員にこがする準備。どれだけ準備できたかが決め手。

自分が実習指導に行く施設の状況把握

実習をさせていただく施設には、様々な施設があります。

  • 市町村:保健センター、市役所などの健康課
  • 助産所
  • 特別養護老人ホーム
  • 訪問看護ステーション
  • 障害者複視サービス事業所
  • 介護老人福祉施設
  • 病院
  • 学校:小学校、特別支援学校
  • 診療所
  • 介護医療院

などです。

看護の対象は、簡単に言うと、赤ちゃんから高齢者まで。(お亡くなりになった方も含めて)

健康な人も、病気を持ちながら日常生活を送っている人も。

入院して治療を受けている人も。寝たきりの人も。

全ての方々が看護の対象となります。

なので、様々な施設で実習をする必要があります。

看護教員として実習指導に行く場合、どの施設に指導に行くのかで、準備が異なってきます。

  1. 看護師さんの仕事の実際を理解する、患者さんとお話をする目的の場合は、看護師の実習指導者さんとの打ち合わせをしなければなりません。
  2. 看護師さんが活躍する場を知る、様々な場で生活する看護の対象を理解する実習の場合、実習施設の施設長さん(もしくは管理者さん、偉い人)と打ち合わせをしなければなりません。

看護師の実習指導者さんと打ち合わせをする。

打ち合わせの日時確認は、3~4週間前に

看護師の実習指導者さんと打ち合わせをする場合は、指導者さんの勤務状況の確認から必要です。

勤務先に電話をかけても、夜勤や休みでいないことが多々あります。

出勤されていても、患者さんの検査の付き添いや、援助中で電話に出れないなど、「また、後でかけなおすそうです。」と言われることもしばしば。

電話がかかってきても、今度は私が授業中、ということもあり。

タイミングを考えて連絡を入れる必要があります。

また、打ち合わせの日時が、病棟の検査や援助が落ち着いた14時に決まり、時間通りに伺っても。

急な入院があって、とか、ナースコールの対応をしてますとか。

5分、10分待つことは当たり前だったりします。

指導者さんが、学生の実習中、学生の指導だけに専念してもらえることは稀で。

いつも、指導者さんは、患者さんを担当しながら(普通に業務をしながら)、学生の指導をしてくださいます。

時には、リーダーの看護師さんが、入院などの調整をしながら、学生指導をしてくださることもあり。

本当にありがたく、時に申し訳なく思ってしまうこともあります。

なので、打ち合わせの日時の確認は、3~4週間前に電話連絡する。

です。

メールは、見てくださらないこともあり。

また、打ち合わせ直前で、「欠勤者がでて、打ち合わせできそうにありません。」とか。

思わぬ事態の発生があり得ます。医療現場なので。

余裕をもっての準備が必須です。

実習指導者さんが日勤かどうか。

よし。打ち合わせをしましょう。

最初に、指導者さんに準備してもらうのが、勤務表です。

学生の実習期間中、指導者さんは日勤なのかどうか。

実習初日に指導者さんは日勤でいるのか。

実習最終日は、丸一日、実習指導に専念できるかどうかの確認をまずします。

ここ数年、コロナ禍ということもあり。病棟での実習自体も難しかったのですか。

指導者さんが学生指導に専念するということも、難しい状況がありました。

なので、実習12日間中、「指導者さんが日勤だったのは5日間だけ」、ということもあったりして。

病棟の科長さんが、学生指導をしてくださったこともありました。・・ありがたや。

ということで、学生の実習中に指導者さんが日勤でいるか。

日勤でいない場合は、誰に実習指導をお願いすればよいのかを確認しておきます。

学生が実習で学ぶことの責任者は、実習指導担当教員ですが、学生が実習で関わる患者さんの看護の責任者は、その日の患者さんの担当看護師であり、実習指導者になります。

学生が患者さんの私物を壊した、怪我をさせた、患者さんから苦情があった等、学校側も対応しますが。

教員が実習先にいないこともあるので、まず、病院として対応する必要がでてくるからです。

実習指導者さんが日勤でないときは、必ず誰かしらに実習指導をお願いしています。

3~4週間前の早い段階で打ち合わせができると、実習指導者さんの日勤が少なかったとしても。

病棟の科長さんに相談して、指導者さんの勤務を変更してもらったり。

指導者さんが看護業務を外れて、学生指導に専念していただけたり。なんてこともありました。

実習指導者さんが日勤でいるということは、学生が相談しやすい看護師さんがいるということです。

病棟の看護師さんたちは、とても忙しそうにしています。

学生は、困ったり、不安だったり、物の場所がわからなかったりしたときに、看護師さんに聞けばすぐに解決できそうなことも、看護師さんに声をかけられずに解決できないでいるときがあります。

時には、学生だけで相談しあって解決しようとし、事故や苦情につながる恐れもでてきます。

なので、学生は、指導者さんが日勤でいてくださるというだけで、安心します。

(もちろん、教員も安心します。)

以前、学生が担当ではない患者さんにお昼の下膳を頼まれました。学生は、担当でないのにいいのかな?と思いましたが、忙しそうな看護師さんに声をかけることができず、下膳してしまいました。その患者さんは、食事量でインスリン注射をする患者さんでした。看護師さんがすぐ気がつき、事なきを得ました。

実習中は、不測の事態が起こります。

  • 緊張して眠れなかった、食べれなかった➡倒れる
  • 体調が悪くなった(熱がでた、お腹が痛くなった、下痢になった、吐き気がする)
  • 急に生理になった
  • 清拭中、患者さんに胸を触られた
  • 記録用紙やメモを失くした
  • 熱布用タオルでやけどした
  • (針などで)手を怪我した
  • 患者さんに写真を撮られた   などなど。

実習指導者さんのように、学生がすぐに相談できる人がいればいいのですが。

体調が悪いのを相談できないまま、我慢して意識を失ってしまったり。

怪我を隠したまま、半日が経過してしまったり。

患者さんとの関係性が悪くなるのではないかと不安になり、胸を触られてから2日間も言い出せずにいたり。

実習での学生の立場は弱いので、このような事にならないように、配慮しなければいけません。

実習指導者さんが日勤かどうか。いないときは、誰にお願いしたらよいのかを決めておく。

そして、学生がささいな事でも相談できるような体制を作っておくことが重要です。

もちろん、教員も、学生の様子・変化を観察して、積極的に関わることが必要です。

まとめ

今回は、打ち合わせの段取りの部分だけで終わってしまい、

指導者さんとの打ち合わせ内容にたどり着くことができませんでした。

次回、打ち合わせ内容について、お伝えしたいと思います。

とにかく、大事なのは準備です。

学生がのびのびと実習できるための環境づくり、支援をしたいですね。

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