その1:実習施設で体調不良になった学生の対応

看護教員にこの実習指導の実際

適応障害になった原因が多すぎる。

看護教員にこは、看護専門学校の3年生の担任をしていました。

3年制の看護学校なので、最高学年の担任です。

それも、3年連続で最高学年の担任をしていました。

さらに、担任のリーダーでした。

基礎看護学領域の責任者でもあり。

学校保健の責任者であり。

学内での講義・演習も多く担当していました。

実習指導では、基礎看護学だけでなく、成人(内科系・外科系)・老年・看護の統合と実践も担当していました。

・・・役割が多すぎませんか?

・・・そして、責任が重すぎませんか?

仕事量、どう考えても多すぎると思います。

今なら。

でも、休職前は、これが当たり前だと思っていました。

やらなきゃいけないと思っていました。

なんせ、真面目で責任感が強いので。(苦笑)

今回は、看護実習で学生が体調不良の時にベテラン教員が何を考えてしまうのかをお伝えします。

教員の仕事量、半端ないですから。

学校の先生は、本当に大変な仕事です。

看護学校に限りません。

義務教育だけでなく。

どんなことでも、教えるという仕事は大変な仕事だと思います。

看護師をしていた時は、看護師ほど大変な仕事はないと思っていましたが、教師も大変なお仕事でした。

やってみて、初めてわかる。(苦笑)

ひとつの事を教えても、受け取り方は人それぞれ。

まず、説明が必要な人もいれば、とにかくやって見せることが必要な人。

やってもらって失敗した方が理解できる人。とにかく不器用な人など。

学生1人ひとりの個性を理解しながら指導するということ。

着実にステップアップしてもらい、看護師になるという目標を達成してもらうことは、並大抵のことではありませんでした。

私は、看護教員になるまで、自分の子どもが小学校や中学校を卒業する時、涙を流して喜んでいるまわりの親御さんの気持ちが、今一つよくわかっていなかったのですが。

看護教員になってから、その親御さんの気持ちが理解できるようになり。

私の子どもたちが卒業式を迎える度に大泣きするようになりました。

子どもたちも、雨の日も雪の日も学校に通い、勉強して、運動して。

苦手な給食を食べたり、友達と遊んだり喧嘩しながら。

身体も大きくなり、色々な事が理解できるようになり、心と身体が成長していきました。

子どもたちも頑張ったとおもいますが。

(親としても頑張ったつもりですが。)

先生方のご指導や暖かい眼差しに支えられて成長したのだと思うと。

当たり前のように卒業できるわけではないのだと感じ。

先生方への感謝の気持ちと、我が子の成長を実感して。

涙腺がゆるみっぱなしでした。

3年生の実習指導。お願い。休まず、元気に実習に行って!

最高学年の3年生は、半年以上、病院など実習施設での看護実習が続きます。

初めての環境で、新しく人間関係を築きながら看護を学んでいくということ。

とてもストレスがかかります。

それが、4週間毎にリセットされ、繰り返されると、どんなに健康で元気な学生でも、何らかの心身の変化が現れてきます。

ストレスで食べ過ぎて太ったり、逆に食べれずに痩せたり。

眠れなかったり。

やる気がでず、K-POPや「推し」にはまったり。

動画やゲームにはまったり。などなど。

自分で自分の生活や、心身の状態をコントロールできればいいのですが。

いつの間にかコントロールを失ってしまう学生が多くいます。

(私のように治療が必要になる前に、何とかしないと。)

学生は、体調を整え、実習を休むことなく既定の日数以上を出席し、実習で達成すべき課題を達成できないと不合格になります。

3年担任の私は、3年生の担当学生6名程の実習指導をしながら、クラス全員(35名程)の実習状況、学習状況、精神状態に気を配っていました。

ここ数年のコロナ禍の状況においては、実習を受け入れる病院施設も、学生の実習の受け入れに慎重になっています。

ただでさえ学生は緊張しているのに、病院施設のピリピリとした緊張感が学生にも伝わり、学生はさらに緊張感が増しているように見えました。

教員を10年している、ベテランの私でさえ、病院職員に声をかけるのも躊躇し緊張してしまいます。

学生なら、なおの事です。

病院へ実習指導に行った時の事。

ある学生が、朝から明らかに顔色が悪いので、

「大丈夫?朝ごはん食べてきた?眠れた?」

と、声をかけると、

「ほとんど眠れませんでした。布団に入って横にはなったんですけど・・。」

と、言います。「朝ごはんは?」

「カロリーメイトだけ・・。」

やっぱりね。と思いました。

実習2日目だけど、病棟の様子を見て、色々と不安が強くなってしまったのかも。

このままだと、絶対に倒れそう。

この状況で実習を継続しても、何も考えられなそう。学べそう。

というか、患者さんや看護師さんに迷惑をかけそう。

もしかしたら、患者さんの目の前で倒れるかもしれない。

コロナ禍の状況で、迷惑をかけるわけにはいかない。

そもそも、学生が病院施設に迷惑をかけて看護業務に支障をきたすようなことがあれば、実習の受け入れを断られるかもしれない。

ようやく病棟での実習ができるようになったのに、それだけは避けたい。

せっかく、患者さんと関われると、学生も頑張って勉強してきたのに。

無理して、実習を頑張らせて、眠れない日が続いて、体調が悪くなって発熱してしまったら!

PCR検査をして陰性確認して実習できるようになるまでに、何日かかる??

実習の規定日数が足りなくなったら、単位が取れない

コロナ禍の状況において、補習実習をしたくても、実習施設を確保できないかも

卒業できない可能性も出てくるかも!

(単位の認定においては、様々に検討が入るとは思いますが・・・。)

「3年間で看護師になる」という目標でここまで頑張ってきた、今までの学生の努力は?

その学生を、身体的にも精神的にも金銭的にも支えてきた、ご家族の努力は?

実習担当教員として、決断しないと。

・・・。

案①(病院付属の看護学校なのです。)午前中は学校に戻して、保健室でしっかり休んでもらおう。体調を確認して、午後から実習に行けそうなら、実習に行かせてもらおう。

案②今日は家に帰ってもらおう。しっかりと体調を整えたうえで、明日から実習に参加できるよう準備してもらおう。

案③病院施設の休憩室をお借りし、水分などをとってもらいながら、まずゆっくりと話を聴こう。不安な事、悩みがあれば、解決しよう。

・・・。

私のなかでは、3つの案が考えられました。

案①は、午前中だけの欠席で済みますが、案②だと、丸一日欠席になってしまいます。

この学生は、実習の規定日数にはまだ余裕がありました。

しかし、学生側の理由(体調が悪いなど)だけではなく、実習施設側の理由で(感染症のアウトブレイクなど)実習施設での実習が中止になるリスクもあります。

患者さんと関わる機会や看護体験が少ないと、実習目標の到達が難しくなることもあります。

できることなら、できる限り実習施設で実習して、患者さんと関わって学んできてほしい。

・・・、という思いが私にはありました。

まずは案①で。ようすをみて、案②へ変更するではどうだろう。

・・ただ、私の独断で、決めることができません。

相談しないといけません。

まずは、実習調整者の教員に報告・相談。

そして、教務主任に報告・相談。

さらに、病院施設の実習指導者へ報告・相談。

そのうえ、病院施設の実習指導教育室に報告・相談。

私の案で行きましょう、と、学校側と病院施設側で共通認識で来たところで、学生に助言・指導です。

「Aさん。今日は実習に頑張ってきたけど、体調が悪そうだね。患者さんの看護の前に、自分の体調を整えよう。・・・。」

学生は申し訳なさそうに、辛そうに涙を浮かべていますが、私はゆっくりと諭していきます

結局、学生は半日休んで復活しました。

実習指導は、頭の中がフル回転。

ここまで書きながら振り返ってみると。

私って、色々なことを考えながら、1人の学生に向き合っていたんだな。

と、再確認しました。

学生の事だけでなく、学生の実習の進行状況をふまえて。

学生が休んでしまうことでの影響。

病院施設への影響など。

さらに、私個人の判断だけではなく。

様々な方々への報告・連絡・相談が必要で。

その報告・連絡・相談にも時間がかかり。

具合が悪そうな学生への対応が、速やかにできないもどかしさもあり。

頭の片隅には、他の学生は大丈夫だろうか・・・。

昨日の実習の課題、実習記録を、学生たちはやってきているだろうか・・・。

午前中の講義の実施に間に合うように学校に戻らないといけない。課題のチェックは午後にしよう。

などと、考えているのです。

常に頭の中はフル回転で、休む時がありません。

私、頑張ってたと思う。

看護教員歴10年。ベテラン。

当たり前のように、担任、実習指導、講義・演習、係、リーダーなどの役割を果たしてきました。

けれど、それって当たり前ではなく、常に頭の中で様々なことを考えて、精一杯頑張っていたんだと。

今なら、そう思えます。

私、頑張っていたと思う。

今はまだ休職中。

自分大事に。家族大事に。

季節の移ろいを感じながら、日々の生活を大切にしていきたいと思います。

次回、適応障害で休職に至った原因を自己分析 実習指導編2で。

 

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