その8:1年生の初めての実習指導 実習指導者との打ち合わせ内容②

看護教員にこの実習指導の実際

看護実習の指導の準備は、1年生がとても大変。

前回は、指導者さんとの打ち合わせ内容の

  • 手洗いのチェック
  • 自己紹介

の部分だけで終わってしまいました。

今回、指導者さんとの打ち合わせ内容の、

  • 実習初日の休憩タイミングは、こまめに。
  • 学生の居場所の確保は重要。
  • 病棟の一日の流れと学生の一日の流れをリンクさせる。
  • 実習病棟の案内は、看護実践を想定して。
  • 学生への指導は、指導者さんもその日のうちに。
  • 初めての担当患者さんは、会話できる方が理想。
  • 教員の実習スケジュールを、指導者さんも把握する。

について、お伝えしたいと思います。

学生が安全に、様々な学びを実習で得るためには、準備が重要です。

私が大事だな、と思っていることの1つひとつが、

私自身の失敗や、体験に基づいたものです。

私が大事だと考えている以外にも、必要なことはあるかもしれませんが。

私の気づきを看護教員や看護師さん、実習指導者の皆さんと共有でき、お役に立てたら嬉しいです。

学生さんも大歓迎です。

1年生の初めての実習指導 実習指導者さんとの打ち合わせ内容

実習初日の休憩タイミングは、こまめに。

実習初日、1年生は、とても緊張しています。

「よく寝て、朝ごはんはしっかりと食べてきてください。」と指導していても、

緊張で、あまり眠れていなかったり。

朝ごはんも、「野菜ジュースだけ飲んできました。」とか、

もともと、「朝ごはんは食べていないので。」とか、言う学生もいます。

ふだん、学校の授業は90分間で、ずっと座っていることが多いのですが。

実習だと、座っていることは、ほぼないですよね。

実習初日と言えど、挨拶してまわったり、病院内や病棟内を見学して回ったりと。

ゆっくりと座ることができず。

気がついたらお昼近くになっているということも、あります。

アルバイトなどで、立ち仕事に慣れている学生も中にはいますが。

大半の学生は、ずっと立っていることに疲れてしまい。

説明を聞くことに集中できなくなってしまいます。

なかには、病棟案内の途中で、気分が悪くなったり、ふらふらしたり。

顔色が青ざめて、貧血を起こしてしまう学生もいます。

また、トイレに行きたいのに、言い出すことができず、そわそわしていたり。

急に「生理が来てしまいました!」と、おろおろしている学生もいました。

なので、1時間に1回、または、何かしら次の行動に移る前に、

  • 体調は問題ないか。
  • トイレ休憩は必要ないか。
  • 水分などを摂りたい人はいないか。

確認するようにしていました。また、

動いた後は座る。

座って説明を受けた後は、動く。

動いた後は、また座って質問したいこと、不安なことを学生同士で相談してもらう。など、

ずっと座ったまま。ずっと立ったまま。

説明を受けっぱなし。ということがないように配慮していました。

私の実習用のバッグの中には

  • 小銭(学生が低血糖・脱水症状を起こしたときにジュースを買うため。)
  • 生理用ナプキン(学生が急に生理になった時のため)
  • ティッシュ(学生の涙、鼻水用)
  • 爪切り(学生の爪が長かった時用)
  • ヘアピン、ゴム(学生の髪の毛をまとめる用)
  • 各種電話番号のメモ

が入っています。

2~3年生であれば、ここまでの準備はいりませんが。

1年生は、実習の厳しさを知りません。

実習前に学生にオリエンテーションをしていても、

ハプニングに備えて、念のため、準備をしておきます。

指導者さんにも、実習初日は特に、休憩を随時とる、説明だけに偏らないようにとお願いしていました。

学生の居場所の確保は重要です。

皆さんは、自宅にいても、学校にいても、

自分にとっての落ち着く場所って、ありますよね。

自宅であれば、自分の部屋かもしれませんし、トイレやお風呂ということもあるかもしれません。

学校では、自分の机とか、教室の後ろの方とか。図書館とか。

人それぞれ落ち着く場所は違うと思うのですが、

「ここでゆっくりしよう。」と思う場所があると思います。

学生が実習しているときに必要なのが、自分の考えをまとめたり、気持ちを落ち着けることのできる場所です。

病棟だと、学生専用のスペースはまずありません。

常に実習生を受け入れている病院施設であれば、学生用のスペースが確保されていることもありますが、

実習人数に対して、十分なスペースがあるか、確認が必要です。

学生が実習をするにあたって、必要なスペースは

  • 学生が持参した荷物を置く場所。
  • 食事、水分摂取をする場所
  • 実習記録を書く場所
  • カルテや看護記録などから、情報を得る場所
  • カンファレンス等、話し合いをする場所

です。

同じスペースを利用してよいのであれば、それでよいのですが、

学生の私物など、貴重品の紛失、

実習記録など、患者さんの個人情報の流出につながらないように配慮してもらうこと。

また、水分を摂取するなど、体調をコントロールし、実習しやすいような配慮も必要です。

実習記録を書くためには、情報収集が必要になることも多いので、ナースステーションの中で記録を書くようになります。

カルテなどを見ながら情報収集をしたり、記録を書くことができる場所があるのかどうかの確認も必要です。

実習指導のために病棟に行くと、実習記録のファイルを抱え、立ったまま記録をしている学生を見つけることがあります。声をかけると、

ずっと看護師さんがパソコンを使っているので、患者さんの情報、ほとんどとれていません。

記録する時に使っていいといわれた机も、お昼前だから、どいてほしいといわれました。

患者さんの食事介助の準備をするそうです。

先生、どこで記録したらいいですか。

という返事が返ってきます。

ナースステーション内を見てみると、使用していない椅子やパソコン、スペースがあるように思います。

私が看護師さんに、「使っていいですか?」と、声をかけると、

「大丈夫ですよ。座ってください。」と言われることもあるのですが、

1年生にとって、看護師さんに声をかけることは、とても勇気がいることです。

あらかじめ、

  • このパソコン、学生さん優先で使っていいよ。
  • 先生方(医師)がいないときは、パソコン使っていいよ。
  • 昼食前後の時間帯以外は、この場所で記録していいよ。
  • 椅子がなくて座れないときは、ここから椅子を持ってきていいよ。
  • 学生さんの荷物は、鍵の付くこの棚に入れてください。棚を開けるときは、スタッフに声をかけて鍵を借りてください。

などと伝えておくと、居場所がはっきりし、学生も安心して記録などをすることができます。

実習指導者さんを中心に、あらかじめ病棟内でルールを決めておいていただけると、ありがたいです。

病棟の一日の流れと学生の一日の流れをリンクさせる。

病棟の一日の流れ(日勤)は、ある程度決まっていると思います。

8:30  申し送り 夜勤・日勤看護師全員で患者さんの情報共有
9:00  情報収集 受け持ち患者さんの情報収集
9:30 ラウンド 受け持ち患者さんの巡回 バイタルサインチェック
10:30  患者さんの清拭や洗髪など
11:30  昼食の配膳、配薬
昼食休憩を11:30から交代で1時間
12:00 昼食の介助 下膳、内服確認昼食、内服確認など
13:30  カンファレンス 看護師・薬剤師・ソーシャルワーカーが集まり、患者さんの情報を共有
14:00  ラウンド バイタルサインチェック
15:00  カルテ記録
16:30  申し送り 日勤から夜勤看護師へ情報共有
17:00  終業

だいたい、このような流れではないでしょうか。

学生も、8:30から実習スタートで、17:00に実習終了の学校が多いと思います。

ほとんどの看護学校の、1年生初めての実習目標は、

看護師さんは病院でどんな仕事をしているのかな。

だと思います。なので、

学生がカルガモのように、看護師さんと一緒に行動すれば、看護師さんが病院でどんな仕事をしているのか、体験から理解することができます。

ただ、実習指導者さんにここだけは支援していただきたい、というポイントがあります。

それは、患者さん優先、業務優先で構わないので、

学生が、看護師さんたちにアプローチできる時間を1分でも、30秒でも、以下のタイミングで作ってほしいのです。

8:30 申し送り・・「実習よろしくお願いしますの病棟全体への挨拶

9:00 情報収集・・「今日はこのような目標で、こんなことを実施したいです。一緒にお願いします。」の受け持ち患者さんの担当看護師さんへの挨拶

12:00昼食の介助後・・「これから休憩に入ります。ありがとうございました。午後もお願いします。」の受け持ち患者さんの担当看護師さんへの挨拶と、病棟全体への挨拶

13:30 カンファレンス前・・「休憩から戻りました。〇時から学生カンファレンスに入らせてもらいます。〇時から、また一緒に行動させてください。の受け持ち患者さんの担当看護師さんへの挨拶と、病棟全体への挨拶

15:00 カルテ記録頃・・「実習記録の報告をさせてもらってもいいですか。(アドバイスを頂いてもいいですか。)」の受け持ち患者さんの担当看護師さんへの確認

17:00 終業・・「実習ありがとうございました」の受け持ち患者さんの担当看護師さんへの挨拶と、病棟全体への挨拶

つまり、挨拶のタイミングです。

朝からてきぱきと優先順位をつけながら行動している看護師さん達を目の前に、学生たちは動けなくなってしまいます。

どのタイミングで挨拶すればいいのか。声をかければいいのか。

学生はその場の空気を読み、看護師さんに声をかけるのを躊躇します。

実習3日目頃になると、学生は自分でタイミングを考えて挨拶できるようになってきます。

実習指導者さんには、学生が病棟の雰囲気に慣れてくるまで、挨拶のタイミングを学生に合図していただけると助かります。

挨拶のタイミングが合えば、看護師さんたちの行動と学生の実施したい行動をリンクさせることができます。

(そのはずです。)

先生、看護師さんに声をかけたんですけど、「待っててね。」といわれてから、1時間経っちゃいました。援助に一緒に入らせてもらいたかったんですけど。

えー。先生と一緒に、看護師さんに声をかけよう。

・・・。すみません。学生の行動計画、聞いてもらっていいですか

・・・。

案の定、看護師さんは患者さんの全身清拭や陰部ケアを終えたところで、午前中は、患者さんのケアはないとのことでした。

学生は、やる気がないわけでもなく、挨拶ができないわけでもありません。

挨拶のきっかけ、タイミングがわからないのです。病棟の雰囲気にのまれてしまっているのです。

挨拶ができない学生って、第一印象、悪いですよね。

初めての実習なのに、

「最近の学生って、挨拶もできないよね。」と、看護師さんたちに思われてしまったら、

学生は、さらに萎縮してしまいます。

そのような状況にならないように、支援していけるといいなあと思っています。

 

まとめ

今回は、指導者さんとの打ち合わせ内容の

  • 実習初日の休憩タイミングは、こまめに。
  • 学生の居場所の確保は重要。
  • 病棟の一日の流れと学生の一日の流れをリンクさせる。

の部分で終わってしまいました。

次回、指導者さんとの打ち合わせ内容の、

  • 実習病棟の案内は、看護実践を想定して。
  • 学生への指導は、指導者さんもその日のうちに。
  • 初めての担当患者さんは、会話できる方が理想。
  • 教員の実習スケジュールを、指導者さんも把握する。

について、お伝えしたいと思います。

とにかく、大事なのは準備です。

学生がのびのびと実習できるための環境づくり、支援をしたいですね。

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