その21:1年生の初めての実習。学生へのオリエンテーション内容⑩最終回

看護教員にこの実習指導の実際

教員歴10年のにこが実施している、1年生へのオリエンテーション内容をお伝えします。

「1年生の初めての実習。学生へのオリエンテーション内容

について、シリーズで解説しています。

今回で最終回です。

基本設定は、

基礎看護学実習1(7日間)

実習目標:看護の対象を理解し、看護の実際を知る

実習内容:担当する患者さんとのコミュニケーション

     看護師と共に、看護援助を体験する

とします。

学生へのオリエンテーション内容(解説内容)は、以下を予定しています。

今回は、10、11、12番目です。

  1. 「私の実習目標」と「事前学習」の確認と返却
  2. 教員の自己紹介
  3. 学生の自己紹介
  4. グループリーダーとサブリーダーをどのように決めたのか確認
  5. 学生個々の実習目標と学習内容の発表
  6. 学生個々の実習目標と学習内容のグループ内での共有と意見交換
  7. 実習直前のオリエンテーション内容①・・・実習前々日に実施
  8. 実習直前のオリエンテーション内容②・・・実習前々日に実施
  9. 実習初日の予定を計画する・・・実習前々日に実施   
  10. 「私の実習目標」と「事前学習」の再提出・・・実習前日
  11. 技術練習について
  12. グループの合言葉の確認・・・実習前日

なお、それぞれの看護学校や大学によって、先生方の考え方によって、

オリエンテーション内容や方法は様々だと思います。

これは、教員にこが、10年間オリエンテーションを続けてきた中での、私なりの工夫が盛り込まれているものです。

私自身の失敗や体験に基づいたものなので、参考までに、ということで、お願いいたします。

私が大事だと考えている以外にも、必要なことがあるかもしれませんが。

私の気づきを看護教員や看護師さん、実習指導者の皆さんと共有でき、お役に立てたら嬉しいです。

「私の実習目標」と「事前学習」の再提出・・・実習前日

学生の「私の実習目標」と「事前学習」の初回の確認と指導をし、返却してから2週間以上が経過しています。

実習前日まで、私と学生たちの間でオリエンテーションを進めたり、目標や行動計画を確認するなどのやりとりをしています。

その都度、必要な学習を追加したり修正するように指導しています。

そのため、学生の実習準備が最終的にどのような状況になったのかを確認するために、

実習前日に、学生に「私の実習目標」の用紙と「事前学習」を再提出してもらいます。

これは、また返却して学生に指導するというわけではなく。

学生個々の「私の実習目標」の用紙を教員にこ用にコピーし、実習開始後、私が学生を指導する上での資料とするためです。

実習前日にダメ出しは絶対にしないと決めています。

実習前日は、ここまで十分準備ができたから、今日はしっかり食べて、よく寝て、朝ごはんをしっかり食べて、

遅刻せず、忘れ物をしないように登校しましょうと伝えるのみです。

ここで学生にプレッシャーをかけて、実習初日を台無しにするわけにはいきません。

私の実習指導の資料として「私の実習目標」のコピーを手元に置き、

学生一人ひとりが、どんな看護師になりたいと考えているのか。

学生一人ひとりが、今回の実習では、どんな目標で、何を頑張りたいと思っているのかを、常に意識しながら学生と関わっていきたいと考えているからです。

年を重ねるにつれて、私も物覚えが悪くなってきました。

学生の顔と名前が一致せず、どんなことを考えているのかもすぐ思い出せないこともあるので、手がかりとするために、コピーして手元に置いておきます。

また、学生が自己紹介の時にどんなことをいったのか、強みや得意な事も、メモしておきます。

実習中は、このコピーした「私の取り組み用紙」に、以下のことをメモしていきます。

「私の取り組み用紙」への実習中のメモ内容

  • 学生が担当した患者さんの情報
  • 学生に指導した内容とその指導に対する学生の反応、日時
  • カンファレンスでの学生の発言
  • 学生の患者さんのへ関わりの様子
  • 看護援助の実施内容や実施時の様子(準備、片付けを含む)
  • 教員や看護師さん、医療スタッフとのやり取りの様子
  • 課題に取り組む様子(実習記録を含む)
  • メンバー間での役割や、役割の遂行状況、(リーダーシップ、メンバーシップ)
  • 実習中の態度、言葉遣い
  • 出席状況や健康状態
  • 実習目標の到達状況
  • 学生が担当している患者さんや、看護師さん、指導者さんからの情報

「私の取り組み用紙」はA4サイズなのですが、A4サイズの用紙の半分に縮小コピーし、残りの反面と裏側を活用して記入していきます。

先生によって、様々な方法があると思うのですが、私は、一人の学生につき、A4 用紙1枚と決めています。

そして、実習が終了し、評価も終了したら、この用紙は焼却処分しています。(個人情報なので。)

必ず毎日この内容を書こうと決めているわけではなく、気になった時や指導した時、患者さんへの素晴らしい関わりや配慮をしていた時。

カンファレンスで面白い視点で発言したときや、調べ学習が素晴らしかった時など。

学生一人ひとりの目標達成や、なりたい看護師像に向けて、頑張りを認めたり、必要な指導をしたり、客観的に自己評価をしてもらいたいときなど。

教育的関わりをするために、忘れないようにメモを取っています。

もちろん、実習の最後には評価をしなければならない(実習の点数をつけなければならない)ので、参考にしていきます。

技術練習について

実習開始2週間以上前から、実習グループの学生たちと関わっていますが、看護技術の練習をするように助言しています。

実習前に、技術試験で技術力を確認している看護援助があるので、その援助については個別性に応じて配慮を考えておくように指導しています。

そして、実習前に、私が患者役になり、看護援助を実施してもらいます。

学生たちは、練習の時も、技術試験の時も、お互い学生同士で患者役をやっていたので、(それでも緊張していましたが。)

私が患者役になり、援助を実施するとなると、また違った緊張感があるようで。

グループ全員から盛大な「えーーーっ。」を、もらいます。(笑)

「患者役、先生じゃないとだめですか。」と言われるのですが、ここは譲れません。

技術試験で合格しているとはいえ、学生が初めて本物の患者さんに援助を実施するのです。

学生の援助が患者さんにとって安全なレベルであることを確認しないといけません。(と、私は思っています。)

すぐに技術の確認をするのではなく、学生が練習し、

「先生、この日に患者役をやってもらっていいですか。」と、申し出たときに確認させてもらいます。

グループ内で練習し、手応えを感じたからこそ、申し出てくるので、

私は、出来る限り患者役に徹して、余計な緊張を学生に与えないようにしながら援助を受けます。

最後まで患者役に徹し、援助がすべて終了したら、講評をします。

基本的な技術については技術試験で確認できているので、

受け持つ可能性が高い患者さんの状況を考えた時に、

「こんな配慮があるといいね。」とか、「この声かけが安心できてよかったよ。」など、

学生の頑張りや努力を認めながら講評するようにしています。最後に、

「これなら、実習に行っても大丈夫だね。」と、自信が持てるような声かけをします。

(それでも、学生は不安で仕方がない様子ですが。)

1年生の最初の実習です。

患者さんとのコミュニケーションや、看護師さんともに援助の体験をするわけですが。

初めての実習で、学生がインシデントを起こすのは、教員の能力不足だと考えています。

ストイックすぎると思うかもしれませんが。

学生は、初めての出会う患者さん、看護師さん、指導者さんと関係性をつくりながら、

失敗しないように、怒られないように、嫌われないように、

実習に合格しますように、と思いながら、不安と緊張の中で実習をしています。

何事もなく、実習が終わるだけでも、すごいことです。

事故を起こそうとして、事故を起こす学生はいません。学生なりの最善を尽くしていたはずです。

なので、1年生の最初の実習で学生が事故を起こすということは、教員の責任が大きいと思います。

学生が事故を起こしやすくなってしまう、教員側の要因(教員にこの考察)

  • 指導者さんや看護師さん、病棟との連携不足、関係性の構築不足
  • 患者さんの選定ミス(重症度が高かったなど)、教員の情報収集不足
  • 学生との報告・連絡・相談の不足
  • 教員の学生の状況を把握していなかった(身体的・精神的など)
  • 学生と患者さん、学生と看護師さん、学生と指導者さんなど、関係性を把握していない
  • 学生への学習支援不足(技術含む)
  • 教員と学生との関係性の構築が不十分

などなど。

10年以上、教員を続けてきたからこそ。

学生のインシデントを経験し、事故分析をしてきたからこそ。

このように考えるに至りました。(このような考えに至った経緯は、またの機会に。)

・・・。

とにかく、援助を通して、患者さんにご迷惑をおかけするわけにはいきません。

患者さんを護りながら、学生も護る。そんな教員でありたいと思っています。

グループの合言葉の確認・・・実習前日

これは、私が提案したわけではないのですが。

あるとき、実習リーダーの学生が実習前日に、「気合を入れたい。」と言い出したことがあり。

教員にこ
教員にこ

どんな気合を入れたいの?

と聞いたら、

みんな、優しさや笑顔を大事にしたいって言っていたから、、

恥ずかしいけど、love & smileとか。

と言うので、みんなで「いーねー!!」というノリになり。

リーダーが音頭をとり、実習メンバー全員で(私も)、

実習頑張るぞー、love & smile おー!!」と、大声で叫びました。(*ノωノ)

それから、毎朝、実習に行く直前に、「今日も、love & smile おー!!」と。

気合を入れるようになりました。

言葉の力でしょうか。言霊??

グループの団結力があがり、メンバー同士も思いやりながら実習を行っていました。

味を占めた私は、次回からグループの合言葉を決めてもらい、実習前日に気合を入れるようになりました。

「健康第一!」とか、(休まず頑張りたい。)

「元気・勇気!」とか。(患者さんに元気を届ける。勇気をだして、看護師さんにアプローチする。)

グループの個性によって、合言葉が全然違うのですが。

毎朝気合を入れるグループもあれば、入れないグループもあるのですが。

それはそれで、個性だなと思って見守っています。

こういうところで、私も学生から元気をもらっています。(笑)

まとめ

今回で、「1年生の初めての実習。学生へのオリエンテーション内容。」についての解説は終わりです。

私が実習指導をする時に大事にしていたことを、解説したつもりですが、

後々、「このことについて、忘れてた。」ということがあるかもしれません。

その時は、また新たに解説したいと思います。

教員を10年以上続けるうちに、私の子どもたちと、学生が同じ年齢になってしまいました。

だんだんと、穏やかな目で学生を見れるようになってきたのは、年のせいでしょうか。

少しでも、実習指導者さんや、看護師さん、教員のみなさんのお役に立てるといいなと思っています。

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