看護実習 看護師への質問、声のかけ方。「アサーション」を活用しよう!

看護実習を乗り切る方法

看護実習って緊張しますよね。事前に学習してあったとしても、看護師さんや指導者さんに質問されると、パニックになってしまいます。「どう答えたらいいんだろう。」「今頭に浮かんだことで間違ってないかな。」「頭が真っ白。何を言われたんだっけ?」などなど、考えたり思ったりしているうちに、沈黙が続いてしまいます。今回は、看護師への質問や声をかけるのに役立つ「アサーション」と、「自分のコミュニケーションのくせ別対応策」についてお伝えしたいと思います。

「アサーション」(assertion)とは、「自分も相手も大切にする自己表現」という意味です。よりよい人間関係を構築するためのコミュニケーションスキルの一つで、一方的に自分の意見を押し付けるのでも、我慢するのでもなく、相手を尊重しながら、率直に自己の意見を伝えるコミュニケーションスキルのことを指しています。実習以外の日常生活でも活用できるスキルです。

アサーションのメリット・効果

実習に実習に限らず、日常生活でも「相手に嫌われたくないので、自分の意見をはっきり伝えることができない」学生さん、いるのではないでしょうか。自分が思っている本当の気持ちを我慢することはストレスに繋がり、逆に人間関係を悪化させてしまう可能性があります。自分の意見をうまく相手に伝えられるようになると気持ちの良い関係を築くことができ、ストレスを感じる機会も少なくなるでしょう。

逆に「いつも強く言ってしまって後で後悔する」という学生さん、いるのではないでしょうか。人は皆それぞれの価値観を持っており、考えていることが異なります。お互いの価値観を尊重して話しができるということは、自分にはない新しい考えを知るチャンスになります。「価値観」の違いと聞くとネガティブに感じてしまいますが、別の視点からの意見を聞くことで新たな発見が得られ、アイデアが生まれやすくなるとも言えます。

実習では、看護師さんや指導者さん、患者さんなど、目上の方と話す機会が多くあります。自分よりも目上の人に対して失礼のない伝え方を習得すれば立場の違う方とも意見交換ができるようになります。

アサーションは、もともと断言・断定・主張という意味を持つ英単語です。1950年代のアメリカで、自己主張が苦手な人を対象としたカウンセリング手法として、主に心理学の領域で使われました。その後、1960年代以降のアメリカの公民権運動のなかで、現在のように「相手を尊重し対等な立場で自分の感情や要求を伝えるコミュニケーション」という定義で使われるようになりました。

コミュニケーションの3つのタイプと具体例 自分はどのタイプなのかを知ろう!

人にはそれぞれコミュニケーションのくせがあります。「アグレッシブ(攻撃的)」「ノン・アサーティブ(非主張的)」「アサーション・アサーティブ」3つのタイプに分類されます。それぞれのタイプと具体例を知り、自分のタイプを把握しましょう。

アグレッシブ(攻撃的)タイプ:相手を大切にしない

相手の気持ちや立場を配慮せずに、一方的に自分の意見を主張するタイプです。自分を守ろうとする気持ちが強く、反対意見に過剰に反応することが多い傾向があります。

たとえば、いつも課題の提出期限を守らない〇〇さんがいたとします。その〇〇さんが今回も提出期限を守らず課題を提出してきました。そのときに攻撃的タイプであれば

なんでまた遅れたの? 何度言ったらわかるのかな!!

 

と一方的に言ってしまいます。

ノン・アサーティブ(非主張的)タイプ:自分をたいせつにしない

対立を避けたい、自分がやった方が早いという気持ちから、言いたいことを伝えられない、なかなかNoが言えないタイプです。

期日を守らない〇〇さんに対して、心の中で

仕方がないな。自分がやるしかないか。

と考えて、課題を全部1人でやってしまいます。

アサーション・アサーティブタイプ:自他尊重

相手の立場や気持ちを尊重しながら、自分の気持ちや考えをうまく伝えられるタイプです。

期日を守らない〇〇さんに対して

遅れが続くのはまずいし、心配しているよ。

と伝えたうえで、相手の遅れる理由を丁寧に聞き具体的な解決策を提案していきます。

自分がどんな時にどんなタイプのコミュニケーションをとりがちなのかを知ることは、相手と円滑なコミュニケーションを築く指針となります。自分が無理せず、相手のことも大切に思いながら、思ったことをきちんと主張していくことができたら、実習でも日常生活でもストレスなく過ごしていくことができますよね。

アサーションはコミュニケーションを取る上でとても重要な要素になります。学ぶというよりは日常での実践が大切なので、まずはトレーニング内容を意識して過ごすようにしてみてください。円滑な人間関係を築いて、コミュニケーションスキルを高めていきましょう!

アサーティブな表現

「I(アイ)メッセージ」で嫌な印象を避ける効果が。具体例あり!

「I(アイ)メッセージ」とは、自分自身を主語とした表現方法です。話しにくい内容や相手を傷つけてしまいそうなことなどは、アイメッセージを使用することで嫌な印象を避けることができます。また、看護師さんや指導者さん、患者さんなどの目上の方に対して言いにくいことも、伝えやすくなります。

  • (私は)○○と考えます
  • (私は)患者さんに○○の援助を実施予定でしたが、体調が悪そうなので実施してよいか迷っています。
  • (私は)そう言われると悲しい
  • (私は)あなたが時間を守ってくれないことに少しイライラしています
  • (私は)報告がなくて心配です

このように主語を「私」にすると、相手に配慮しながら自分の主張もできるので柔らかい印象になります。アイメッセージは自分の感情を相手に伝え、判断は相手に任せることになります。「〇〇してほしい!」と相手の行動まで制限をせず、あくまで判断をゆだねている点で相手を尊重したコミュニケーションとなります。

「YOU(ユー)メッセージ」は強い口調になりがち。具体例あり!

ユーメッセージとは「あなたは」を主語にして主張する方法です。

  • (あなたは)間違っています!
  • (あなたは)もっとできるでしょ!
  • (あなたは)遅刻しないでよ!
  • (あなたは)連絡をこまめにすべきだ!

このように相手の領域に踏み込んでいくような言葉はYOUメッセージなります。「あなたは…」を主語にすると、相手の行動を制限することになるので強い口調になりがちです。

「あなたは間違っている」という表現で相手を否定するのではなく、「自分はこう考える」と伝えることで、お互いに意見は違っていても同じ立場で建設的に意見交換することができます。

実習では、まずは「I(アイ)メッセージ」で自分の考えを表現してみましょう。看護師さんや指導者さん、教員は、学生さんの伝えたいこと・考えたことに寄り添ってアドバイスをしてくれると思います。勇気を出して、アイ・メッセージで伝えてみましょう。

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