教員にこが、指導者さんとの打ち合わせの前に、必ずやっていたこと。
看護学生が実習させていただく実習施設や実習病棟は、多岐にわたります。
そして、実習施設の実習指導者さんも、新年度になると、違う役割になったりして。
常に同じ指導者さんと打ち合わせをする、というわけではありません。
なかには、「うちの指導者、産休に入ったので、違うスタッフにお願いいしました。」とか、
「結婚して、辞めちゃいました。」とか。
突然、科長さんに言われてびっくりすることもあり。
女性が多い職場だから、仕方がないと思いつつ。
(そのような連絡って、学校側にはなかなかこないし、打ち合わせに行ってみないとわからないこともあります。)
なので、毎回、指導者さんとは初めてタッグを組むつもりで打ち合わせに行きます。
指導者さんとの打ち合わせも大事なのですが、同じくらい大事なのが。
実習施設の管理者や病棟の科長さん、係長さん、主任さんに、私の顔(教員にこの顔)を覚えていただくことです。
特に、病棟の科長さんにはしっかりと挨拶し、何かしら会話をするようにしていました。
病棟の多くの科長さんは、入院していらっしゃる患者さん全員の様子をうかがいに、毎日訪室していらっしゃいます。
その訪室の際に、科長さんは、「看護学生さんを受け入れていただき、ありがとうございます。」などと、感謝の気持ちを患者さんにお伝えしてくださっているそうで。
患者さんから、「いい学生さんだね。」とか、「身の回りの事、よくやってもらってるよ。」など、良い反応の事もあれば。
「今どきの子は、挨拶ができない。」などと、苦言を言われることもあるそうで。
そういった情報を、挨拶した時に、科長さんに教えていただくことがあります。
(あとで、学生の指導に活かすことができます。)
また、係長さんや主任さん、学生が今日お世話になる看護師さんにも、挨拶をしておくと。
何気なく、学生の様子を気にしてくださって、「学生さん、清拭のときの患者さんへの声かけ、良かったですよ。」とか、
「患者さんの処置に一緒に入ったんですが、顔がこわばっていました。大丈夫ですかね。」など、
教えてくださいます。
このようなやりとりを続けていくと、何となく病棟の雰囲気が良くなってくるというか。
みんなで学生を育てていこうという雰囲気になってくるため、
学生にとって、実習がやりやすい環境になってきているのを感じてきます。
実習指導者さんとの打ち合わせ開始です。
前回は、勤務表を確認し、実習期間中に指導者さんがいらっしゃるか確認しました。
指導者さんも、長く続けていらっしゃると、実習期間中は日勤の方がやりやすいことがわかり。
前もって、科長さんに勤務希望を出しておいてくださいます。
(ありがたや。)
さて、打ち合わせ開始です。
今まで、どんな実習を受け入れていたか確認する。
私の場合、まず、さぐりをいれます。
どういうことかというと。
色々な看護学校や看護大学さんの実習を受け入れている病棟の場合。
最近まで、3年生が実習していました。とか。
2年生がきていました。とか。
准看の学生さんが来ていましたよ、ということがあります。
そうなると、病棟全体の雰囲気が、
「あぁ、学生さんね。昨日まで1人で足浴とかしてたから、大丈夫でしょ。」
みたいな感じで、「やりたいこと、どんどんやっちゃってー。」と、ウエルカムな雰囲気だったり。
「今回は、大丈夫でしょうね。挨拶ぐらい、できるよね。」と、なんとなく不信感を持っていることもあったり。
様々です。
看護師さん達は、夜勤をしているので、いつからいつまでどの学校が来ていて、
いつからうちの学生が実習に来るのか、よくわかっていないし、関心もさほどありません。
きちんと把握しているのは、実習指導者さんと、病棟の管理者(科長さん、係長さん、主任さん)ぐらいです。
なので、実習指導者さんに、確認するわけです。
最近まで、どこかの学校さん、実習に来ていましたか。
今回は、1年生の初めての実習でお世話になります。
ちょうど今、違う学校の3年生、来ていますよ。
老年看護学実習です。援助、頑張っていますよ。
看護教員にこは、やっぱりかー。と思います。
3年生が実習に来ていて、援助を頑張っているということは、実習にも慣れてきていた学生さんだろうな。
老年看護学の実習だから、高齢者の特徴をふまえながら、コミュニケーションも上手にとれているんだろうなと。
看護師さんたちが、その3年生になれていたとしたら、うちの学生に対するハードルを、かなり下げてもらわないといけないなと。
考えるわけです。
こんな時、早めに打ち合わせに来ていて、よかったーと思います。
指導者さんと、実習の目標と行動目標を共有する。
今回の実習は、1年生なんです。看護師さんと一緒に行動をさせてもらい、看護師の仕事を体験を通して知っていきます。
技術試験は、バイタルサインとリネン交換を実施しました。
患者さんに何かしら援助を実施する時は、必ず看護師さんと一緒。必ず見守りのもとでお願いします。
学生が1人で実施できる援助は、何もないです。
手洗いも、心配です。
コロナ禍の状況や患者さんの安全を意識してもらうためにも、初日のオリエンテーションの時に、手洗いのチェックをお願いしてもいいですか?(私も一緒にチェックします。)
「看護師さんと一緒に行動させてもらい、看護師の仕事を体験を通して知る」=実習目標です。
「必ず看護師さんと一緒に。」
「学生が1人でできる援助はない。」
「手洗いも心配。」➡チェックして、できるようになってもらう。
これらは、実習目標を端的に学生の行動で表現したものです。=行動目標です。
これを伝えると、ベテランの指導者さんからは、
わかりました。
これから1週間、実習目標と、学生さんが何ができるのかを、毎日スタッフに周知するようにします。
休憩室にも、張り紙をしておきますね。
3年生とはちがいますからね。
といった反応が返ってきます。
どんなに優秀な学生であっても、
技術試験でよい結果を出していたとしても、
初めての環境で、初めて接する患者さんに、手際よく援助する1年生はいません。
コミュニケーションにも、つまずきます。
(バイタルサインを一通り測るのに、30分以上かかることもあります。)
そのような学生の状況を、病棟の看護師さんたちにわかってもらい、忍耐強く関わってもらう必要があります。
そして、そのような1年生が実習に来るということを周知するのに、1週間程度かかります。
(夜勤の看護師さんもいるので。)
(ちなみに、1週間程度、周知に時間をかけていただけると、医師や、理学療法士さん、看護助手さんなどから、「今年は元気な子、いる?」とか、「リハビリの見学、大丈夫ですよ。」とか、声をかけていただけます。)
病棟のスタッフ全員が、今回の1年生の実習の目標や、どこまで行動できそうなのか。
なんとなく分かってもらえると、実習環境が整ってきた空気感が私にも伝わってきます。
実習初日のオリエンテーション内容を決める。
手洗いのチェックをお願いしてもいいですか?
これは、私がいつも、意図的に指導者さんにお願いしていることで。
オリエンテーションの一環として、手洗いのチェックをしています。
実習指導者さんの手洗いのチェックを受けるということで。
学生には学内の技術試験とは違った緊張感が漂います。
患者さんを守るためにも、医療従事者の一員であると学生に意識してもらうためにも。
また、「手洗い」で学生に小さなミスをしてもらい、緊張をほぐすためにも実施しています。
学生は、病棟での初めての手洗いに緊張し、必ず洗い残し、拭き残しをします。
それを、指導者さんが、穏やかに
「洗い残しあったよ。」
「あなたは、素手で水道の栓を止めてしまったね、残念。」などと声をかけます。
学生全員をチェックし終わった頃には、
学生全員が、「やっちゃったね。ミスした―。」と苦笑いになり、
「みんなで気をつけよう」、という雰囲気にもなります。
また、指導者さんと学生の距離が縮まります。
学生さんも、指導者さんも、自己紹介をお願いします。
これも、私が指導者さんに意図的にお願いしていました。
学生さんに、自分の名前と、実習の自己目標の発表だけでなく、
好きなものや得意な事、はまっているものなどを一緒にアピールしてもらっていました。
また、指導者さんや教員も(私も)自己紹介していました。
私は、年のせいもあり。
指導者さんも、学生にかかりきりではないため、学生さんの顔と名前が覚えられない。一致するのに時間がかかるということがあり。
最初の自己紹介の時に何かしらアピールしてもらうと、「韓流好きの学生さんね」、とか、「猫好きの学生さんね」と。
学生の顔と名前が覚えやすく、親しみも抱くという。(笑)
逆に、指導者さんが、「食べるのが好き」などと自己紹介して、学生も親しみを覚えるという。(笑)
そうすると、実習中、指導者さんが、学生を名前で呼んでくれるようになり。
他の看護師さん達も、「学生さん、ちょっと来て。」や、
「鈴木さん(患者さんの名前)の学生さん」ではなく、
学生の名前を呼んでくださるようになります。
学生は、自分の名前を、患者さんや看護師さんに呼んでもらえると、とても嬉しそうにします。
(自分の存在を認めてもらえている。頼りにされているように思うのかもしれません。)
まとめ
今回は、指導者さんとの打ち合わせ内容の
- 手洗いのチェック
- 自己紹介
の部分だけで終わってしまいました。
次回、指導者さんとの打ち合わせ内容の、
- 実習初日の休憩タイミングは、こまめに。
- 学生の居場所の確保は重要。
- 病棟の一日の流れと学生の一日の流れをリンクさせる。
- 実習病棟の案内は、看護実践を想定して。
- 学生への指導は、指導者さんもその日のうちに。
- 初めての担当患者さんは、会話できる方が理想。
- 教員の実習スケジュールを、指導者さんも把握する。
について、お伝えしたいと思います。
とにかく、大事なのは準備です。
学生がのびのびと実習できるための環境づくり、支援をしたいですね。
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