その13:1年生の初めての実習。学生へのオリエンテーション内容②

看護教員にこの実習指導の実際

教員歴10年のにこが実施している、1年生へのオリエンテーション内容をお伝えします。

前回から

「1年生の初めての実習。学生へのオリエンテーション内容

について、シリーズで解説しています。

基本設定は、

基礎看護学実習1(7日間)

実習目標:看護の対象を理解し、看護の実際を知る

実習内容:担当する患者さんとのコミュニケーション

     看護師と共に、看護援助を体験する

とします。*7日間を追加しました。_(._.)_

学生へのオリエンテーション内容(解説内容)は、以下を予定しています。

今回は、2番目です。

  1. 「私の実習目標」と「事前学習」の確認と返却
  2. 教員の自己紹介
  3. 学生の自己紹介
  4. グループリーダーとサブリーダーをどのように決めたのか確認
  5. 学生個々の実習目標と学習内容の発表
  6. 学生の目標と学習内容に関する意見交換
  7. 教員にしてもらいたいオリエンテーション内容
  8. 教員からのオリエンテーション
  9. 実習初日の予定を計画する
  10. 「私の実習目標」と「事前学習」の再提出
  11. 技術練習について
  12. グループの合言葉の確認

追加もあり得ます。(笑)

なお、それぞれの看護学校や大学によって、

また、先生方の考え方によって、

オリエンテーション内容や方法は様々だと思います。

これは、教員にこが、10年間オリエンテーションを続けてきた中での、私なりの工夫が盛り込まれているものです。

学生からは、

「先生、熱い、熱すぎるよ。」

「患者さんよりも、先生に寄り添えるか、心配。」(苦笑)

と、言われた時期もありました。

(年と共に、自分を客観視できるようになり、穏やかになりました。たぶん。)

私自身の失敗や、体験に基づいたものなので、

参考までに、ということで、お願いいたします。

私が大事だと考えている以外にも、必要なことがあるかもしれませんが。

私の気づきを看護教員や看護師さん、実習指導者の皆さんと共有でき、お役に立てたら嬉しいです。

看護教員になったばかりの先生方、実習指導者になったばかりの看護師さん。

きっと、自分が学生だった時との違いを学生に感じ、

戸惑っていらっしゃる方もいるかもしれません。

私も教員になりたての時は、学生の考えていることがわからず、

指導に悩んでいました。今も、悩みながら指導しています。

指導のヒントや指導案のヒントになったら、嬉しいです。

実習開始前までに、大まかなチームビルディングをしておく。

私は、3年担任です。

ふだん、1年生とはあまり関わらないのですが。

基礎看護学領域の講義や演習を担当することもあり。

1年生の顔と名前は一致しないのですが、

教員にこ
教員にこ

あ、この子は見たことがあるな。

元気な子だよね。

と、何となくわかる、知っている状況です。

きっと1年生の方が、講義などを受けて、私の事をよく知っているかもしれません。

これから、看護チームとして、患者さんと2週間弱、関わるのですから。

(土日は休みだったり、平日に1日授業があったりするので。)

しっかりとチームビルディングをしていかないといけません。

チームビルディングとは

メンバーの能力や経験を最大限に引き出し、高いパフォーマンスを上げるチームを作ることです。

今回の実習目標は、看護の対象を理解し、看護の実際を知るです。

実習グループ全員の能力や経験を最大限に引き出し、チーム全員が看護の対象を理解し、看護の実際を知らなければいけません。

1年生なので、学生一人ひとりの知識・技術は未熟ですし、

実習にいって、学生一人ひとりが、どれだけ患者さんと会話をしたり、看護援助の体験ができるかわかりません。

自分だけの体験では、担当した患者さんを通した看護の対象を理解し、看護の実際を知るになってしまいますが。

その体験を、実習グループ全員で共有し、意見交換する中で、

担当した患者さんを、違ったものの見方でみることができるようになったり、

自分の考えに根拠が持てるようになったりします。

学びが深まり、学生一人ひとりが高いパフォーマンスを(実習目標を)達成できるようになります。

また、看護はチームで実践するものです。

そして、実習グループの中には、教員にこも含まれています。なんとなんとっ

私は、常々そのような考え方で、実習指導をしています。

その方が、楽しいですし、学生の考えに触発されて、看護を創造できると感じています。

実習指導の醍醐味です。

前回、オリエンテーションから実習が始まっていると書きましたが。

実習に行ってから、学生と教員が。そして、学生同士が「初めまして、よろしくね。」

ではなく。

実習前に、教員と学生同士がコミュニケーションをとり。

実習を乗り切るためのチームビルディングを大まかにしておきたいという、意図もあります。

初めての実習施設、初めての看護師さん、指導者さん、初めての患者さん。

それだけでもハードルが高いのに、

実習メンバーとも、「初めまして」からのスタートだと、精神的に非常に辛いものがあります。

私も、教員として、学生個々の状況に合わせた指導はできません。

よって、大まかにチームビルディングができたところで、実習が開始できるようにしていきます。

教員にこは、自己紹介で学生のやる気を引き出す。

学生との信頼関係構築の重要性

実習指導するにあたって、私は学生との信頼関係の構築が非常に重要だと考えています。

看護実習では、学生は、予想もしないような状況に遭遇することがあります。

ベッドから車椅子に移乗する時は、ナースコールを押さなければいけないのに、

患者さんが「大丈夫、大丈夫。」といって、移ろうとしてしまったり。

糖尿病で、カロリー制限をしているはずなのに、

隠していたお菓子を食べようとしている患者さんを発見したり。

教員に、「援助は看護師さんと一緒に体験してね。」と言われているのに、

看護師さんに、「先に行って、患者さんの背中を拭いていて。」と言われてしまったり。

信頼関係が十分に構築されていないと、

「こんなこと言ってもいいのかな?行ってもいいのかな?」という遠慮や不安につながり、

「まあいいか。」と、自己判断で見過ごしてしまったり、

報告・連絡・相談の遅れにつながってしまいます。

今までの学校生活で、「まあいいか。」で済ませていたことも、

臨床現場では許されないこともありますし、場合によっては大きな事故につながる恐れがあります。

学生だからと言って、知らなかった、わからなかったでは済まされません。

そのため、学生が、

患者さんの言うとおりにしていいのかな?

にこ先生の言っていることと、看護師さんの言っていること、違うな。

などと、引っ掛かりを感じたときに、躊躇せず相談できることが大切です。

躊躇せず相談するためには、信頼関係の構築が大切です。

学生同士の報告・連絡・相談も大切ですが、学生なりの問題解決になってしまい、

専門的な知識や経験に基づくものではないため、危険です。

やはり、看護教員や実習指導者さん、看護師さんに躊躇せず相談できることが、

患者さんの安全を守るためにも重要になってきます。

教員にこの自己紹介は、チームビルディングを意識している。

先ほども述べた通り、学生との信頼関係をどのように築いていくのかが、鍵です。

私は教員であり、学生個々の実習指導担当であり、学生個々の実習目標の到達状況の評価者でもあります。

教員・指導者・評価者という点で、学生よりも立場が強いです。

学生からすると

カンファレンスで変なことをいったら、実習評価が下がるかも。

こんなことも知らないの、って怒られるかも。

オリエンテーションで説明したよねって、あきれられるかも。

実習記録に赤ペンで指導されていた。どういう意味なのか確認したいけど、怖い。

というようなことを思いがちですし、思うのも当たり前です。学生と教員ですから。

でも、このような関係性のままだと、躊躇なく相談できませんよね。

そこで、教員にこの作戦発動です。

チームビルディングの目的3つ

  1. 信頼関係の構築に向けた、コミュニケーションの活性化:意見を交換したり、協力し合ったりするためにも、気さくにコミュニケーションが取れる雰囲気を作る。
  2. チームとしての結束力を高める:チームビジョンや価値観を共有することで、一体感を持って目標に向かう。
  3. チームが目指す目標達成の確率を高める:チームで目指すべき目標や各自の役割を理解することで、パフォーマンスの向上につなげる。

チームビルディングの目的をふまえていきます。

教員にこ
教員にこ

実習指導を担当します、教員のにこです。よろしくお願いします。

私も、この実習グループのメンバーの一員です

皆さんがこれから担当する患者さんへの関わりや援助が、より良いものになるように協力したいと思っています。

教員だからと言って、仲間外れにしないでくださいね。

皆さんと協力し合って、実習目標が達成できるといいなと思っています。

どうでしょうか。

  • 教員も、実習グループメンバーの一員である
  • 指導ではなく、学生に協力したい  = 主体は学生にある
  • 実習目標を達成するという価値観を学生と共有する

この3点を意識して、つかみの挨拶をしました。

続いて、

教員にこ
教員にこ

皆さん、講義などで私の事をご存じかと思いますが、教員10年目です。

現場を離れてずいぶん経ってしまったので、初心に戻って、皆さんと一緒に看護を学び、体験していきたいと思っています。

患者さんとお話したり、清拭などの援助の体験を通して、患者さんの思いを汲み取り、私の考える優しい援助を実践していきたいと思っています。

また、グループの一員として、皆さんの相談にのったり、時には皆さんの意見をお聞きして、患者さんとのコミュニケーションや援助に活かしていきたいと思います。

1年生だからこそ、気づけたり感じること、考えることがあると思います。

ぜひ共有していきたいです。

  • 教員にこの、考えや価値観(1年生としての強み)
  • 教員にこの役割

この2点を意識して伝えました。

教員にこ
教員にこ

私は息子が3人いるのですが、実習中の週末に、小学校6年生息子のサッカーの試合があります。

長男・次男は成人しているので、三男が可愛くて仕方がないです( ´∀` )

その、試合観戦を楽しみに、実習頑張りたいと思います。

ワークライフバランスを意識していきます。

皆さんも実習だけでへとへとにならないように協力していきましょう

 

  • 気さくに話ができる雰囲気づくり

この点を意識しました。

まずは、教員自身が自己開示すること。

教員自身の好きなものや楽しみにしていることを伝えることで、その場の雰囲気が和んできます。

まとめ

教員は、学生にとって強い立場にあり、立場上、どうしてもマウントをとってしまいがちです。

学生と接する時は、そのパワーバランスが大きく崩れていないかどうか、

学生が不利になっていないかどうか、常に意識しながら関わる必要があります。

また、学生にとって初めての実習なので、全ての事を一つひとつ教え、導かなければならないのですが。

教員も、チームの一員であること。

学生の味方であることを、学生に理解してもらえるよう関わる必要があります。

私自身、言葉だけでなく、行動も伴なうよう、気を引き締めています。

(時に、ゆるんでしまうこともあります。ごめんなさい。)

学生がのびのびと実習に臨めるよう、応援していきたいですね。

次回は、「学生の自己紹介」です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました