看護実習を乗り切る方法を看護教員が伝授。体調管理・事前準備で備えよう!

看護実習を乗り切る方法

看護実習が始まる時、誰でも不安になるものです。実習指導者は厳しくないか患者さんとはコミュニケーションがとれるか。看護実習は授業開始時間よりも早い集合時間なので、起床できるか不安になります。この看護実習のグループでやっていけるのかどんな病院・実習環境なのかも不安になります。看護実習前なのに、しっかり眠らなければと思うほど目が冴えてしまう事もあるでしょう。「自分だけがこんなに不安になっているのか」と感じる事もあるかもしれませんが、皆同じような不安を抱えています。

まずは、体調管理を徹底しよう

体調管理を怠ると、実習に行っても学びに集中できず、患者さんや病棟に迷惑をかけてしまいます。課題がいっぱいで睡眠時間を削ってでも準備をしたい気持ちはわかりますが、そこはぐっとこらえて体調管理を優先させましょう。

食事をしっかりとる

どうしても後回しになってしまうのが食事です。特に一人暮らしの人は、「少しでも寝ていたいから、食事時間を削る」ということがあるかもしれません。でも、それでは実習中にお腹が空いてしまい、集中力ももちません。卵かけご飯、納豆ご飯、レトルトの丼物でも構わないので“まずは食べる”ようにしてください。そして余裕のある時にサラダやお肉など栄養のあるものを食べましょう。

睡眠をしっかりとる

「睡眠をとらないと脳は酩酊状態に陥る」といわれるくらい、睡眠は翌日のパフォーマンスに影響します。週末に寝だめしようとしても、毎日の睡眠負債は簡単には取り返せません。少なくとも6時間は寝るようにしましょう。そのためには時間の使い方を考えなくてはいけません。実習から戻ったらまず課題を終わらせ、課題はため込まない。分からないことは早めに聞く、だらだらネットサーフィンをしない。など普段の自分の生活と照らし合わせて考えましょう。時間は作るものです。

メンタルケアも忘れずに

心の管理もとても大切。ついネガティブなことを考えてしまう、翌日のことが不安で眠れない、自分に能力がないと思ってしまう・・・いろいろ悩みがあると思います。実習というある意味追い込まれた状況ではなおさらですよね。そういう時こそ周りの力を借りてください。友達、親御さん、高校の先生、もちろん学校の先生、そしてときにはカウンセラーなど専門家を頼ってもよいでしょう。大切なのは1人でため込まないこと。人に話すだけでも不安の原因が明らかになって解決策が見えてくることもあるのです。1人で頑張り過ぎないでください。

 事前準備をしっかりしよう

「ここまで準備したのだから、あとは何とかなる」と思えれば、だいたい何とかなるものです。もしうまくいかなくても、「自分はこう考えていたんだけど、どうしてうまくいかなかったのでしょうか?」と指導者さんや先生に質問でき、具体的なアドバイスが頂けると思います。

明日の準備は前日の夜、寝るまでに終わらせる

持ち物や提出物の準備は前日の夜までに終わらせます。どんなに眠くても必ず終わらせましょう。そうすることで睡眠の質もよくなります。持ち物の準備に関して、「うっかりさん」は、必ず前日の夜のうちにリストと照らし合わせ、忘れ物がないように確認しましょう。

ポケットノート(あんちょこ、虎の巻)を作っておく

バイタルサインの正常値、血液データの正常値、子どもの発達の標準値、ケアの必要物品など、覚えることは山のようにあります。皆さん頑張って覚えていると思いますが、とっさに出てこないことも。すぐに参照できるようポケットノートを作っておくとよいでしょう。「これがあれば大丈夫」という心のよりどころがあると、安心して実習に臨めます。指導する側も「よく勉強しているな」と思うと、より丁寧に教えたくなるものです。

事前学習を十分にしておく

事前学習って何をしたらよいのか分からないという声をよく聞きます。受け持ち患者さんがわかっている場合には、

  1. 病気の誘因
  2. 病気の特徴(どんな病気か)
  3. 症状
  4. 合併症
  5. 治療法
  6. 必要な看護 などを調べておくとよいでしょう。

(受け持ちが決まっていない場合は、その領域に多い疾患について複数調べておく)。その時、常に「なんで?」と問いかけながら調べていきましょう。たとえば、糖尿病の症状として「易疲労感」と書いたのなら「なんで導尿病だと疲労するの?」と問いかけるのです。その答えを一つひとつ見つけることができれば、きっと看護過程もスラスラと展開できると思います。

漠然とした不安を解決しよう

漠然とした不安ほどタチの悪いものはありません。でもその不安が何からきているか見つけられたら解決できるかも!不安で仕方のない時こそ、しっかり自分自身と向き合ってみてください。

不安の根っこを見つける

不安をなくそう。考えないようにしようと思うほど、人は深く強く不安を感じてしまいます。ではどうするか?徹底的のその根っこを探りましょう。具体的にどういうことが不安なのかを考えてみるのです。自分の心を奥深くまで覗き、「うまくできるか不安」と思うなら、「何がうまくできないかもしれないの?」と自分自身に問いかけます。「患者さんと話ができるか不安」なのか「ケアが適切にできるか不安」なのか・・ということです。

こうしてみると、「それは大丈夫」と思えるものもあるでしょう。練習や勉強で解決することがある(たとえば“洗髪”の手技は練習でき、薬の副作用機序は勉強できる)一方で、自分ではどうしようもないことや考えてもわからないことがあるかもしれません(たとえば、どんな患者さんを担当するのか不安、怖い指導者だったらどうしよう、など)。まずはここまで。「自分はこれに不安を感じているんだな」と思えるまで探ってみてください。

自分自身にアドバイスをしてみる

次は具体的なアドバイスを考えるのですが、“もし友達から相談されたら”と想定してみましょう。自分のことだと「全部不安、無理!」と思っても、人のことなら「こうしたらいいんじゃない?」「何とかなるから大丈夫」と言えることも多いのではないでしょうか。その力を利用しするのです。これは心理学で「メタ認知」とよばれるもので、自分(もしくは自分の不安)を客観視する方法です。客観的に自分の感情を認識できれば、漠然とした不安状態にストップをかけ、具体的な解決策を考えられます。不安に飲み込まれないよう客観的に自分をとらえる、とも言えますね。

不安に支配されないようにする

不安で何も手につかない・・・。そういうときこそルーティーンを崩さないようにしましょう。食事をきちんととる。部屋を片付ける。湯船につかる、歯磨きを丁寧にする、なんでも構いません。小さなことでよいので、意識しながら日々の生活をします。そして「自分はちゃんとできている、頑張ってる」と自分をほめてあげてください。きちんと食べて、寝て、朝起きて実習に行く。そんな自分って、本当にエライ!のです。

心も体も疲れているときほど、どんどんネガティブなことを考えてしまうと思いませんか?実習中は、記録に追われる毎日かもしれませんが、完璧を求めすぎることなく、時には手を抜いて、自分にご褒美をあげる時間を作ってください。美味しいものを食べる。ゆっくりとお風呂に入る。好きな音楽を聴く。映像を見る。家族や友達と過ごす。・・・心にゆとりができると思考が広がり、実習にも前向きに取り組めるようになるかもしれませんよ。

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